昼間ほとんどの運転者は、トンネルの中で前照灯を点灯しない。 自分には見えるから。 たしかに、自分が運転するには十分に見える。 しかし、自分の存在が他の車からも見えなければ安全は確保されないことを考えるべきである。
ドイツの運転免許試験には頻繁に出題される問題
「なぜ前照灯を点けるのか?」
1.視界が悪いから
2.暗くなってきたから
3.他の交通参加者に気付いてもらうため
答えは3 である。1.も2.も間違いではないが要点はあくまでも3.なのである。『存在を確認できない相手との安全を保つことは不可能』である 明確な論理である。 前照灯を積極的に使うべきである。 現在売られている自動2輪車の前照灯は消灯できない構造になっている。
視角が狭く(角面積が小さい)認識されにくい自動2輪こそ前照灯の助けをおおいに使うべきである。
それを消灯可能にするキットが販売されているが、論外である。
最近のトンネルは照明がよくなり視界はよく確保されている。 そのせいで前照灯を点灯しない運転者が多い。 ここでもよく考えなければいけない。 前照灯を点けていない車、特に車の塗色がしずんだ色であればなおさら、はトンネルの外から確認されにくい。 車がトンネルから出て自然光にさらされるまでは消灯しないようにしなければならない。 トンネルの出口の横道から出てくる車にも、トンネルを出てすぐに車線を変更しようとしている車にもトンネル内の車の存在を知ってもらうためには前照灯が唯一の手立てである。 トンネル内で点灯が義務付けられている根拠は明確である。 画像、今出てくる車は影にいるうちに消灯したため一瞬目を凝らさないと存在が確認できなかった。 後続の車は点灯しているので存在が明瞭である。 |
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この状態で、トンネル手前の横道に右折して入ろうとする車あるいは横道から本線に出ようとする車の運転者には確認が容易ではない、確認が遅れる可能性がある。 このトンネルはトンネル内でカーブを描いているため、車体がシルエットにもならないので特に確認が困難な例である。 |
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撮影位置を変えると、ある程度車のシルエットが見えてくる。 しかし、前照灯が点灯されていればどれほど確認が容易であろうか。 『カーブ多し速度落とせ』の看板は作るが、このような教育・啓蒙は皆無、本気で事故を減らそうとおもうならば的外れと言わざるをえない。 |
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ちなみにスェーデンでは運行中の自動車は晴雨、明暗にかかわらず、常時前照灯の点灯が義務付けられている。 ほとんどのヨーロッパの国では車幅灯を点灯しての運行は禁止されている。 前照灯が故障しても車幅を示すための灯火が車幅灯である。 前照灯の間に入れば沈んでしまうからである。 |
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この画像は、常時点灯が義務の国スェーデンの道路で撮った画像。 曇り空であるが、全ての自動車は前照灯を点灯している。 対向車の前照灯がまぶしいと感じたことは全くなかった。 |
直流発電機を積んでいた昔の車は、発電能力が劣り、少しでも電気の消費を少なくしてバッテリーの消耗を防がなければならなかった。
また、前照灯の照射界の切れが悪かった時代にはむやみにヘッドライトを点灯すると対向車にまぶしかった。いまではそのような心配は皆無になった。 ヨーロッパでは、交差点で消灯することは違反である。 交差点でこそ前照灯を点けて存在を明瞭にしなければいけないのである。 交差点で停止中に消灯して節約できる燃料はたかが知れている。 動き出すときに点灯し忘れることの方を危惧するべきである。
デンマークとスェーデンでは運行中(交差点で停止しているのも運行中)には常時前照灯を点灯しなければならない。 踏切で列車の通過待ちをする時だけは消灯。 踏切で前照灯を点灯している車は進入の意思があると判断されて、列車が停止することになっているとのこと(デンマークに長期生活していた人から聞いた、スェーデンの車は消灯できない構造)。
非常に明瞭で論理的な仕組みではないであろうか。私は、車を購入するときには単純に視認性の良い塗色の車体を選ぶ。 いかに気に入った色があっても周囲に溶け込みやすい塗色は避ける。 おそらく白がもっとも周囲の色とコントラストが大きいとおもう。 山吹色も被視認性は高いが、標準仕様でこの色に出会ったことはない。